伊吹山に登る

更新日: 2024-02-23 19:42
滋賀県の山100名山
山行日: 2022年11月19日

伊吹山は標高1377m、滋賀県の最高峰である。深田久弥の100名山でもあり、100名山の中では登りやすい山と言われている。理由は、アクセスの良さ、標高の低さの2つであろう。東京からでも日帰りで登りに行く人もいるくらいアクセスは良い。

最寄りの近江長岡駅からは登山口までのバスは出ている(しかも駅からバスで20分程度)し、標準往復コースタイム7時間(山に登りなれている人なら4~5時間くらいだろう)、技術の必要な鎖場や岩場もない。それでいて特徴的なのは、ほとんど木のない山容である。そのため、三合目以降の登山道では概ね下界を見渡すことができ、終始見晴らしが良い。

計画

以前の記事でも紹介した通り、今回は前泊をして伊吹山に向かうことにする。理由はホテル代が安く、無理して日帰りにする必要が薄いこと、朝は苦手だからである。できることならゆっくり寝て朝食を食べて山に向かいたい。東京からなら新幹線を使って日帰り登山もできなくはないが、スケジュールはかなりタイトである。

一泊するとなると、心配になるのが荷物量である。私は登山を始めた頃に購入したミレーのサースフェー40+5を使っているのだが、これに普段登山に行くときに入れている荷物(ミラーレス一眼、簡易救急セット、水ペットボトル500ml、等)に加え、登山当日の衣類一式とナルゲンボトルを2本、スマフォのモバイルバッテリーという感じになった。丁度荷物がザックに良い感じに収まる荷物量だ。

靴は当然登山靴、ズボンも登山用を終始履くことにして、登山後は伊吹薬草の湯で汗を流して、行きに着ていた服を着て帰ることにした。

米原で前泊

とりあえず新幹線で東京駅から米原駅まで向かう。前泊で時間があるんだから、新幹線を使わずに交通費を浮かす方法もあるが、今回はやめておいた。

余談だが、米原駅はこだまだけでなく、いくつかのひかりも停車するので、こだまひかりを乗り換えずに一本で到着可能である。
途中で見た富士山。新幹線のアナウンスで、富士山が見えますよっていうのは初めて聞いた。山頂付近は雪が積もっているっぽいけど、まだ全体的にそれほどっぽい。
明日登る伊吹山が見えてきた。ぱっと見だと標高2000mくらいありそうな雰囲気があるけど、1377mである。武甲山が1304mなので、ほぼ一緒。どちらも石灰石の採掘所があるところも似ている。
東京駅を出発して約二時間、14時頃に米原駅に到着。いつも通過ばかりしていたので、降り立つのはこれが初めてである。

私は昔、大阪に住んでいたので大体このあたりの事情というのはわかっているつもりである。米原駅周辺には観光するところが全くない。

それでも何故かかなり早く米原入りしてしまった。これは、私が勝手に、早めに着いてもチェックインできるだろ~と甘く見ていたせいなのだが、ビジネスホテルでアーリーチェックインはご法度だったようで、しっかりチェックイン時間まで数時間待たされた。
宿泊した東横イン米原駅新幹線西口。駅前には冗談抜きでこのホテルとスーパーくらいしかない。
そこで、ちょっと散歩がてら彦根まで移動して彦根城でも見学してみるかと思ったのだが…。

彦根ってひこにゃんっていうキャラだけ有名で、街はそれほど有名ではないような。
やっぱり彦根城がメイン観光地なんですかね。城をぐるっとまわろうとするとなかなか歩かないといけなさそうだ。
折角来たんだし…とそれほど興味もなかったが、とりあえず駅から彦根城まで歩いていたが、途中でしっかり彦根城が見えたので、もういいかな、と思い、ここで引き換えした。

そもそも、このとき来ている服は明日の帰りで着る服なので、アクティブに活動して汗をかくわけにはいかないのだ。
というか、街に人が全然いないんですよね…米原よりは栄えているんだけどさ…。

結局この後、ホテルまで戻りチェックインだけして部屋に入れる時間までロビーで暇を潰していた。その後はスーパーに買い出しに行ったくらいである。

伊吹山登山

翌日は午前6時に起き、簡単に朝食を済ませたら、出発である。

近江長岡駅を午前7時30分過ぎに出発する始発のバスが、伊吹山登山口に着く最も早い公共交通機関なので、それにあわせて米原駅から近江長岡駅まで移動する。バス停には登山者しかいないが、それほど人数も多くなく、ちょうど全員が座れるくらいであった。

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雲で伊吹山の山容は全く見えない

駅から伊吹山が見えるはずなのだが、全く見えない。折角東京から来てガスってて何も見えませんでした!は流石にな~と考えていたが、結局この後、バスから伊吹山方面を眺めていると、次第にガスが消えていき、山頂あたりがうっすらと見えるくらいになったのだが、山頂が少し白くなっているような気もして、雪が積もっていたらまずいな…と考えていたが、その心配は無用だった。

事前情報ではバスは交通系ICカードが利用可能、と聞いていたのだが、対応しておらず急いで現金を用意した。

バス停から登山口の伊吹山ゲートまでは30秒も歩けばつく。バス停の裏がトイレになっていて、キレイに清掃されていた。
よく登山記録で見かける伊吹山ゲート。
左手の建物で入山料300円を渡すと、地図と領収書をもらえる。必須ではないようで、払っていない人もいた。
午前八時、登り始める。

伊吹山ゲートをくぐると、樹林帯の九十九折の道となる。このあたりではバスから降りた人たちが団子になっているのだが、次第にバラけていって、三合目に着く頃には団子はなくなっている。
樹林帯を抜けたすぐのところに一合目の看板がある。
既にそこそこ眺めは良いのだが…
伊吹山の登山道は小岩が多く、少し歩きにくさがある。このあたりではまだ伊吹山本体は見えないし、山道というより、アスファルトを歩いているような感覚で、面白みは薄い。



高度があがると、次第に見晴らしも良くなってくる。この写真はまだ二合目前だったと思うが、既に街はいくらか見下ろせる。

相変わらず、竹笹だかススキだかに囲われた道を行く。

既に標高は600m近い。秩父でいうところの皆野破風山の山頂と同じくらいだ。見晴らしはいいけど、まだまだ始まったばかりである。
二合目から続く、丘のようなところを登り切ると伊吹山が見えてくる。

ここで私の体力は150%まで急に回復し走り出そうかというくらいにテンションが上がったのだが、どうせすぐ疲れるので辞めておいた。

雲ひとつない絶好の登山日和。朝ガスっていたのが嘘のようだ。

今からこの壁のようなところを登っていくのかと思うと、不安と楽しみが半々くらいである。

ここで三合目に到着。二合目から丘を登りきった後は坂道ではないので、あっという間だ。標高は既に720m。奥武蔵なら関八州見晴台くらいの高さである。

三合目には公衆トイレがある。ここから山頂までトイレはない。

五合目。ようやく半分といったところ。ここからは登山道上に岩が増えて、山頂までの急登を登っていくことになるが、九十九折の道なので登りやすい。

このあたりは比較的、道が整備されていて歩きやすい。岩もまだ少ない方で、階段のように整地されていたりもする。

去年の台風の影響か、だいぶ道がエグレているところもあり、それをどうやら修復しているところらしい。

正直、このあたりまで来ると、そんなに景色は変わらないので、黙々と登り続けるしかない。

振り返ると今まで歩いてきた道や滋賀県の街並み、琵琶湖あたりも見えるんだけど、高所恐怖症にとってはちょっと怖くもあるので、あまり見ないようにしていた。

まあ、山頂に向けて、露岩も増えてくるし、道も狭くなるんだけど、慎重に歩いていけば滑落するようなところはまずないので、問題はないはずなんだけど、うっかり滑落したら一気に下まで滑り降りそうだなあ…とか考えると足がすくむので良くない。これが私が低山ばかり登っている理由の一つである。

午前10時30分、伊吹山頂に到着!

予定では11時30分に到着予定だったのだが、1時間早く登頂できた。

売店のあたり。前情報では全ての山小屋が閉店しているとのことだったが、一店舗だけ営業していた。
午前11時20分頃、下山を始める。山頂には30分だか40分いて、軽く昼食を食べたり、写真を撮っていたのだが、下山後も伊吹薬草の湯に行ったりする予定だったので、名残惜しいがそろそろ下山することにする。

登山口まで戻ってきた。ここで大体13時ごろ。午前8時に登り始めたので、約5時間で往復した計算となる。

近江長岡駅行きのバスまで時間があるので、そのまま歩いて伊吹薬草の湯を目指す。徒歩で大体20分。

伊吹薬草の湯までは徒歩で。

登山者でごった返しているのではないか、と思っていたが、以外に地元の人が多かった。

入浴料は確か650円くらいだったと思う。それほど熱くないお湯で入りやすかった。

脱衣所にロッカーがあり、そこに荷物を入れるという、よくあるシステムだがロッカーが小さいので、基本的にザックは入らない。奥の方に縦長の掃除用具を入れるような大きめのロッカーが2つほどあるので、そこにザックを押し込むことにした。

全裸になってから気づいたのだが、私は今回、タオルを一切持ってきていない。これはまずいぞ…!と思ったが、タオル類は持参のようで、全く脱衣所には置いていないので(そりゃそうだ)、あわてて服をもう一度来て受付まで戻り、200円でタオルを購入した。

汗を流した後は受付前の長椅子で荷物を整えてバス停に行き、近江長岡駅から米原駅に行って新幹線で帰宅。

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初100名山だったが、やはり伊吹山は良い山だった。約1400mの低山ながら、木がなく終始見晴らしが良い。山頂からの眺めも良いし、往復5時間(標準コースタイム7時間)で戻ってこれるのもお手軽で良い。新幹線を使えば東京からのアクセスも良いし、また登りに行きたい山だった。

とはいえ、今回は積雪する前のギリギリのタイミングで、雪は積もってないし、暑くもないという好条件だったが、冬は豪雪地帯、夏は直射日光が常に当たり続けて激熱という情報なので、秋か春くらいに登るのが良いと思われる。夏だと最低2リットルはないとヤバい、という情報を聞いていたので、前泊のホテルで予備の水を500ml追加するかどうかで悩んだほどだが、結局1リットルしか飲まなかった。行きで400ml、山頂で200ml、帰りで400mlという感じ。

次に下山後温泉を計画するときは忘れずにタオルを用意したい。