秩父の名峰、武甲山を歩く

更新日: 2024-06-10 10:21
秩父奥武蔵・外秩父
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山行日: 2024年5月3日

今回は秩父の名峰、武甲山へ。
武甲山は秩父のシンボルのような山。秩父市街から見ると山の斜面が削られ痛々しい姿となっているが、これは石灰岩の採掘が行われているため。

この写真は2024年はじめに、宝登山に登りにいく途中で撮影したものですが、斜面が大きく削れているのがわかります。未だに採掘は続いていて、年を追うごとに削られている範囲は広がっているようです。

検索すると1950年当時の、まだ採掘が行われていない武甲山のモノクロ写真も出てきます。
武甲山の石灰岩採掘が始まったのは1979年5月6日頃の模様。5月3日頃に山頂付近入山禁止となったようで、その時に大勢の人が武甲山に登っている写真が見つかります。これは当時の新聞記事にもなったみたいです。

参考: 武甲山・・・‟削られる前の山頂写真を追加”・・・(注)過去記録

その後、1981年3月頃に山頂が削られ、少し標高が縮んだらしい。1963年の写真では山頂標に1336mと記載がありますが、現在では山頂は削られ、標高は1304mと言われています。

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話変わって、当ブログでは奥武蔵というと、西武池袋線飯能駅から西武線秩父駅までの沿線沿いに存在する山と、飯能市内の山をあわせたもの、くらいの雑な認識なんですが、飯能の山を奥武蔵として、秩父側は奥武蔵とは言わない、という定義もあるらしい。
西武池袋線は、西武池袋駅から西武吾野駅までの路線のこと。西武吾野駅が開業したのが1929年9月10日。
その後、1969年10月14日に西吾野駅から西武秩父駅の区間が営業を開始し、西武秩父線が生まれました。

西武秩父線が開業したのは正丸トンネルが開通したから、なんですが、それまでは秩父側へは正丸峠を超えるバスが運行されていた模様。
なので当時からすると、現在の登山道状況も色々と変わっていることでしょう。バス停から登る登山道が廃道になり駅から登る登山道ができ…といった感じでしょうか。

今歩いている・歩かれている登山道も、崩落や地権者の都合通行止めになったり、アクセスの良い交通手段ができたりして、新しい道が生まれ、古い道は草木が生い茂り、そして自然に還る。古い道標や踏み跡は意外と長い年月経っても微かに残っていたりもしますが、そういう長い自然のサイクルの一部分を切り取って山を歩いているんだと考えると山はやはり待ってくれないんだなあ、と思います。

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というわけで話を戻すと、前々から気になっていた武甲山に登ってきました、ということで。

武甲山へのアクセスなんですが、公共交通機関を利用してアクセスするのは若干面倒です。
一の鳥居が一番メジャーな登山口なんですが、最寄りの横瀬駅から徒歩1時間30分〜2時間程度はかかると思います。車があれば20分程度でしょうが。
この道は以前一度だけ歩いたことがあるんですが、採掘した石灰岩を運搬する大型ダンプが頻繁に行き交っており、徒歩で行くには少々怖い。

そこで今回は横瀬駅からタクシーを利用して一の鳥居まで行き、武甲山に登り、下山は秩父鉄道の浦山口駅とします。
横瀬駅からタクシーに乗る場合は、秩父ハイヤーがオススメ。理由は横瀬駅前に唯一タクシー乗り場があるのが秩父ハイヤーだからです。
私の場合、料金は横瀬駅から一の鳥居までで2500円ほどでした。一の鳥居はインターネットが通じなかったりするので、現金を用意しておいたほうが良いでしょう。(auは通じるみたい、ドコモは圏外)
横瀬駅に8時、9時頃到着するラビューで一斉に登山者が降りてきてタクシーに乗り込むらしく、運が悪いと1時間待ちということもありうるらしいので、予約しておくと安心かと思います。


というわけで一の鳥居に到着。
私達がタクシーを降りて準備している最中も、秩父ハイヤーのタクシーが来て登山者を下ろして行きました。
まだ朝8時ですが、路肩駐車も数台出ているくらい駐車場は満杯。近くに新しい駐車場もできましたが、そちらも既にそこそこ埋まっていた。


ここから登っていく。しばらくは舗装路が続く。


登っていくと山道へ。
ここは小屋があったり畑地になっているようで人が住んでいるんだろうか?廃屋という感じではまったくなかった。


途中分岐があるが、こちらは林道生川線。関係者以外立ち入り禁止。


途中鉄パイプの橋を渡り登っていく。


武甲山御嶽神社の石標。これは山頂にある神社なんですが、一の鳥居から登るルートは表参道になっているらしく、ここがその入口、ということでしょう。


登る人が多く、表参道ということもあり、登山道は極めて歩きやすい。不明瞭な箇所はなし、危険箇所も一切なし。細いトラバース道さえなく、安心して歩ける道が続く。


大杉広場に到着。
名前の通り大杉が鎮座している。
ここで休憩している人も多い。


木の割れ目にこういう感じで観音様が置いてあったりする。さすが表参道だ。



大杉広場を超えてから、徐々に登山道上に石が出てくる。
とはいえ、歩く分には全く問題ない。


フェンスのような見えてくると山頂が近い証。


山頂に到着。
早速武甲山御嶽神社にお参りする。
大抵こういう山の上にあるお寺や神社は無人で建物だけあったりするのだが、今回は宮司さんもいるようだった。毎日登ってきているんだとしたら相当体力がつきそうだ。


山頂は広く、休憩している登山者も大勢いた。近くにトイレもあるものの、年中常に使用できるわけではない。


神社の横から山頂標のある見晴台まで登る。


山頂からは秩父市街が一望できる。素晴らしい景色だ。
手前の森のようなところに羊山公園の芝桜の丘があるのだが、既に見頃は終えている模様。


こちらは横瀬丸山。持参した双眼鏡で見てみると、山頂の展望台が見えた。
その奥に堂平山も見えるのだが、この写真だと判別は厳しいか。


武甲山、標高1304m。


大勢の登山者で賑わう武甲山。

山頂でお昼ご飯を食べて早速下山する。
私個人としては、このまま大持山・子持山と歩いで鳥首峠あたりから名郷バス停に降りてもいいのだが、今回は嫁氏もついてきており、体力的に縦走するのは厳しい。
そのため、浦山口駅へと下山するルートを歩く。


降り始めると早速樹間から大持山・子持山とみられる山が見える。なかなかアップダウンがきつそうなルートだ。
そのうち歩きにいきたい。


ここは道標通り右へ。


浦山口駅へ通じるルートは明るく、植生も表参道と違っていて雰囲気がいい。
表参道は植林なのか杉が多く、晴れていても陽が差し込まない少し暗い雰囲気だったが、こちらはイメージ通りの秩父の山という雰囲気がする。


途中見晴らしが良いところがあり、奥に両神山。
快晴で連休なので、両神山もさぞ混んでいることだろう。


手前に見える尾根はなんだろう?と思っていたのだが、帰って地図を見たら、どうやらあれが高ワラビ尾根と思われる。
高ワラビ尾根は急坂に岩場と難度高めのバリエーションルート。


降りていくと平坦なところが出てきて、その後また若干急な降りとなる。
GWで遭難を警戒しているのか、埼玉県警のヘリがこの辺りを旋回して注意喚起の音声を流していた。


写真左の坂道を下ってきて平坦地に出る。
後ろを振り返ると写真右側の道が見えた。倒れた道標には水場と書かれているが、今でも水は出ているんだろうか?
地図を確認すると、ここからシラジクボの方に行く巻道になっているようだが…。


進んでいくと次第に狭い尾根道となる。
木が周りになかったら高度感がある痩せ尾根と言えそうだが、草木が生い茂っておりそんな感じはしなかった。

嫁氏はディズニーランドのジャングルクルーズみたいだ、とよくわからない感想を漏らしていた。
この狭い道は2〜3箇所岩がちなところがあり、降り利用時は段差が大きく注意。岩場というほどのものではなく、足の置き場所を選びながら歩いていけば問題ない。


狭い尾根道を降りきると、また明るい尾根道へ。
歩いている人は表参道に比べると格段に少ないが、気持ちいい尾根道だ。


そのまま標高を下げていくと杉の生えた広い尾根道になる。
歩いて行ったらところで道標が出るので、そこで斜面側へ曲がると、九十九折りの道となる。


降りきると砂利道へと出る。
脇に沢があり気持ち涼しい。
滝を水が落ちるゴー!という音が聞こえる。

ここで少し休憩。


途中、橋を渡って…


滝を横目に…


よく整備された砂利道を歩く。


ここで崩落場所を迂回する。


一度沢を渡り東側の登山道を歩く。


このあたりは本当に巨石が多く圧倒される。


途中大きな木を横目に見つつ…


もう一度沢を渡って、崩落した林道の迂回が完了。


林道に復帰する。
ここからはずっと舗装路を歩いていく。


次第に建物が見え始めると、橋立鍾乳洞に到着の合図。


GWの快晴日ということもあってか、観光客の姿が目立つ。
このあたりは蕎麦屋など昼食を食べれる場所も多く、昼時だったこともあり、大勢の観光客が。


そのまま浦山口駅まで。


秩父鉄道に乗り御花畑駅で下車して歩いて西武秩父駅まで向かう。
西武秩父駅もかなり人が多い。フードコートは空いてる席を見つけるのが難しいくらい混んでいた。

とりあえず我々の目的は西武秩父駅併設のフードコート横にあるジェラート屋。
ここでアイスを食べて帰宅するのが通例である。
今回はほうじ茶とピスタチオのダブルにコーンでオーダー。(ダブルってあったっけ?)
このジェラート屋はフレーバーが多くいつも迷うのだが、結構いろんなフレーバーを試してきたので、そろそろ自分の定番が見つかりかけてきている。

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武甲山登山は一の鳥居から山頂まで往復するのが最も簡単で、道も歩きやすく容易。
実際、普段着とスニーカーで長い木の枝をストックがわりに歩いている家族連れも多く見られた。

一方で、浦山口駅へ下る道は人通りが少なくなることもあり、家族連れでハイキングに歩く道、というよりも若干、登山者向けといった感じかもしれない。表参道、浦山口駅ルートどちらも危険箇所はなく、道も明瞭ではあるが…。